
ジャンル | RPG |
ハード | PC/Steam、Switch、PS5/PS4、 Xbox Series X|S ※PS5版でプレイ済 |
発売日 | 2025年3月21日 |
発売元 | KOEI TECMO GAMES CO., LTD. |
開発元 | KOEI TECMO GAMES CO., LTD. |
プレイ時間 | 43時間 |
ユミアのアトリエ とは?

『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』は、コーエーテクモゲームスのガストブランドが手がける『アトリエ』シリーズの完全新作RPGです。
舞台となるのは、かつて錬金術の栄華を極めた「アラディス帝国」が存在した大陸。強大な国力を誇った帝国は、突如として発生した天変地異により、歴史の表舞台から姿を消しました。
それから数百年。錬金術は「滅亡を招いた危険な術」とされ、人々から忌み嫌われる禁忌に。そんな時代に、大陸に足を踏み入れた一人の錬金術士――それが本作の主人公、ユミア・リースフェルトです。
彼女は3年前、事故で母を亡くしたことをきっかけに、自身が錬金術士の家系であることを知ります。そして同時に、生まれて初めて、錬金術という存在そのものに強い疑問を抱くのです。
なぜアラディスは滅びたのか?
なぜ錬金術は「禁忌」とされたのか?
本当に、錬金術は“悪”だったのか?
大陸に残された遺構や記憶の痕跡をたどりながら、ユミアは“失われた真実”に触れていきます。
本作では、シリーズ初となるシームレスなオープンワールド探索や、
プレイヤーの自由な拠点づくりが可能なハウジング機能、
リアルタイムアクションと戦術が融合したレンジ戦闘システムなど、
これまでのアトリエにはなかった要素が数多く導入されています。
一方で、“調合”や“人とのつながり”といったシリーズの核は、しっかりと引き継がれています。
失われた記憶を追い、世界と向き合い、自らの存在を見つめ直す――
アトリエシリーズの中でも、特にシリアスで静かな余韻を残す物語です。
良かった点
キャラクターと物語 -魅力的なキャラとシリアスな物語-


本作の物語は決して真っ当に明るくはありません。錬金術が禁忌とされている世界観ですので、当たり前といえば当たり前です。それでも、「重い=つらい」ではないのが『ユミアのアトリエ』の凄さです。
ストーリーというメインの軸はシリアスですが、会話や雰囲気のテンポはあくまで”優しい”印象です。仲間との掛け合いは面白く、ドヤ顔や仕草、性格でちゃんとキャラを愛することが出来ます。特に、主人公ユミアは本当にいい性格をしていて、プレイしていて最高のキャラでした。
もちろん、一緒に旅をする仲間たちも魅力的です。
主人公と一緒にいた軽口を言い合えるポジション、最初は錬金術に対して懐疑的だったポジション、親友的なポジション、飄々としているが仲間を気にかけてくれるポジション、明らかに何かしらの背景を持っているキャラ、小動物で可愛いポジションと多種多様ながらも物語の盛り上げに必須だったキャラがたくさんいます。誰もが完璧ではなく愛される隙をもっていますし、いわゆるトラブルメーカーみたいに嫌われるキャラがいない点も魅力的でした。
全体的に、主人公サイドや前向きで理知的なキャラが多く、ストレスがなかったです。
なんとなく進められるシステム -複雑だが頭を使わなくても良いシステム-


調合や戦闘といった各システムは、しっかりと作り込まれていながらも、「詰将棋」的な複雑さではなく、“適当に進めてもなんとかなる”ちょうど良さがあります。
たとえば調合では、特性や効果を追求すればいくらでも極められる奥深さがある一方で、おまかせ調合で自動的に調合しても問題ないです。もちろん、品質重視や効率重視、最低限の出来でも良いから作ることも出来ます。
戦闘も、レンジを切り替えて距離を調整し、スキルやアイテムを使い分ける戦術性はあるものの、シビアな操作は少なく、回避もかなり易しめに作られています。結果として、気楽に楽しめるアクションRPGとして成立しています。
「今日は考えるのが面倒だから、感覚でやりたい」そんな気分の日でも進められるゲーム性です。
オープンワールドと開拓任務 -短期的な目標をもとに探索できる-

本作では、4つの地方があり。それぞれの拠点を中心に「開拓任務」と呼ばれる短期的な目標が与えられ、それが探索の指針となってくれます。
たとえば、「宝箱を開ける」「素材を集める」「特定の敵を討伐する」といった明確な目標が存在し、なんとなく進めがちなオープンワールドにおいて、程よいテンポと達成感を生んでいます。
もちろん、開拓任務だけサブクエストもあり、それだけでなくマップ上にはいくつもの印があります。それに向かって探索することを続けると、気づけば何時間も歩き回っている――そんな導線設計が非常に秀逸です。そして、アトリエシリーズでは素材集めが重要になってきますので、歩き回る過程で自然と素材も集まっている点は非常に良かったです。
気になる点
演出の長さ
調合を始める際や、戦闘で必殺技のようなものを行う際の演出が長いです。初回はスキップせずに、ゲームの演出として楽しめますが、やはり繰り返しプレイをするとテンポの悪い要素になりました。
単調で多いミニゲーム
オープンワールドでよくあるシステムとして、マップのスカスカを埋めるためにも宝箱やイベント、簡単なダンジョンのようなものが配置されます。
本作も同様で、扉を開けることやアイテムを手に入れるために同じパズルのミニゲームをすることが多々あります。探索をどんどん進めていくと、何回もそのミニゲームをプレイする羽目になります。すぐ終わるミニゲームではありますが、単調で面白みに欠けます。
細かいバグ
レビュー時点では、細かな不具合が見受けられました。完全な進行不能バグには当たりませんでしたが、一部ゲームの進行に必要なマップ場のものが反応しないものなどがありました。ゲームの再起動をすれば直る不具合ではありましたので、もしも不具合に出くわしたら、再起動をすることで直るかもしれません。
アップデートでの改善に期待したい部分です。
全体的に荒削り
全体的に荒削りかなと思いました。それらは以下の点です。
- 開拓任務のコンプリート要素がフィールドの障害物を壊せるという、重要度が高すぎる報酬
- 開拓任務をコンプリートした後に、また同じ箇所に戻らなければならないという作業感が強いです。
- 探索ポーチの面倒くささ
- 探索ポーチは宝箱を開けるためのリペアツール等を格納できます。いわゆるリソース管理の要素があったのでしょうが、フィールドで作成できるので一々足りなくなったら作るという過程が必要で面倒でした。
- 調合する必要性が少ない
- 基本的に調合するアイテムが必須ではないことが多いです。クリア時点では調合できるアイテムの2割くらいしか調合しませんでした。
- ハウジング要素
- アトリエを拠点にするわけではなく、4つの地方で複数個ハウジング出来るエリアがあります。そこで、素材を複製できる温室等が配置できます。できますが、移動が面倒です。ファストトラベル出来ますが、ロードも挟みますし面倒です。
“変わったもの”と”変わらなかったもの”、アトリエらしさとは?
今作で明確に他のアトリエシリーズと異なる点は、以下の3つだと思います。
- 調合システム
- 探索構造
- 戦闘システム
正確に言えば、どれもシリーズを重ねるごとに差分はありますし、前作のシステムをそのまま踏襲しないことも多いです。ですが、変わったと明確に思った箇所です。
- 調合システム
- 見た目としては、錬金釜ではなくなりました。
- 調合のシステムとしては、考える要素よりも高品質な素材、アイテムの数が圧倒的に重要視されました。システムを理解するよりも、素材集めや調合した高品質なものを複製したほうが効率的です。
- 結果として:
- システム面はスマート化され、「とりあえず調合したい」という人にとってはとても快適。一方で、素材を見比べながら悩む“錬金術っぽさ”は後退し、調合を主軸に遊び込む楽しさはやや抑えめ。
- 探索構造
- ライザのアトリエ、特にライザのアトリエ3から明確に感じましたがシームレスな探索になりました。移動自体は、バイクもありますし、ジャンプで何とかなる要素が多く快適です。
- 結果として:
- 冒険感、発見感が格段に上昇。一方で、「採取→帰還→調合」という生活のリズム感は薄れたかもしれません。
- 戦闘システム
- 戦闘は、本当にアクション要素が強くなりました。ですが、強力なアイテムを作って蹂躙できる点は今作でももちろんあります。
- 結果として:
- 直感的な操作がしやすくなり、戦闘にスピード感と緊張感が出た。一方で、考える要素が少なくなりなったかもしれません。
個人的には、これだけ変わっていながらも、『ユミアのアトリエ』が「ちゃんとアトリエだ」と感じられました。「錬金術の力で目的を達成する」という精神性がブレていなかったからです。また、今作は錬金術そのものに対して非常にスポットが当たっていたため、その点でもすんなりと「ちゃんとアトリエだ」だと感じられた点でした。
つまり、調合のシステムが変わっても、戦闘の形式が変わっても、探索の構造が変わっても、「錬金術でものを作る」「誰のために作っているのか」が描かれ続けていたからこそ、アトリエだと感じ続けられたのだと思います。後、可愛くて魅力的なキャラがいたから。
まとめ
おすすめ度 | ★★★★☆ |
現代的に大胆に変化した挑戦的なアトリエ!
- おすすめする人
- アクションが苦手でも遊びやすい作品を求める人
- 何かを作るという体験が好きな人
- オープンワールドの探索が好きな人
- キャラクラーのビジュアルにハマった人
- おすすめしない人
- ガッツリとした戦闘を求める人
- オープンワールドの探索が苦手な人

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