
ジャンル | 人狼風推理アドベンチャー |
ハード | PC/Steam ※Steam版でプレイ済 |
発売日 | 2025年4月25日 |
発売元 | FINE Co., Ltd. |
開発元 | Shadow Glove |
プレイ時間 | 7時間 |
おやおや?大家さん! とは?

『おやおや?大家さん!』は、人狼風の推理アドベンチャーゲームです。
プレイヤーは父親から相続したアパートの大家となり、住人の中に紛れ込んだ妖怪を見つけ出すことを目的とします。妖怪は「嘘をつけない」という特徴を持つため、住人たちとの会話や監視カメラの映像、名簿情報などを手がかりに、住人たちが人間か妖怪かを洗い出していきます。基本的に情報整理を中心に進めていく設計となっています。エピローグ等を除いて、5章分あります。
本作は、推理を軸にしながらも、住人たちとの交流や小さな人間模様に焦点を当てています。また、過度なドラマ性や派手な演出に頼っていないことも特徴です。
良かった点
推理システム -嘘をつけないという発想-

本作、最大の特徴として「嘘をつけない」妖怪を見つけるという点です。通常の推理ゲームでは”嘘を暴く”ことが主軸になりますが、”嘘をつけない”妖怪を逆に見つけ出すという発想が新鮮でした。反対に言えば、妖怪以外は”嘘をついている”ということになり、結局”嘘を暴く”ことにならないかという見方になるかと問われればそうではありません。例に挙げると「妖怪」なら「妖怪が存在しない」という発言は出来ません。このように住人との会話で、「嘘をついている」住人、「妖怪なら言えるわけがない」発言などの矛盾を拾い上げる作業は楽しかったです。
最終的には、「妖怪」なら「妖怪」である根拠、「人間」なら「人間」である根拠を全ての住人に対して示す必要があるので、丁寧な読み込みが必要なのは推理ゲームとして良かったです。
会話ログ -住人毎にカテゴライズされた見やすさ-

会話ログ機能は非常に優秀で、住人ごとに発言が整理されているため、情報整理がしやすい設計になっています。情報を扱うゲームにおいて、過去の発言を見やすく振り返れる点は推理体験を大きく支えています。情報整理が推理の鍵となる本作では、この会話ログの利便性は高かったです。
気になる点
メモ機能の不親切さ
本作では、住人の発言をメモし、そのメモ内容や監視カメラの映像、名簿情報から情報整理をし、住人が「人間」である根拠や「妖怪」である根拠を示します。ですが、メモ出来る数の上限が決められているため後半になると過去に記録したメモを削除する作業が生まれました。メモのリソース管理を行うという点は推理を楽しみたいのに若干ストレスとなる要素でした。
なお、会話ログからメモでき、ログ自体は各住人ごとにカテゴライズされているため見やすくとても良いです。
類似している論理構造が多い
推理の根幹となるロジックは、基本的に「嘘をついている」、「妖怪なら言えるわけがない」発言を探すことに収束しますが、その論理展開が章ごとに似通っている印象がありました。既視感のある発言パターンが増え、推理の新鮮さが薄い場面がいくつかありました。もちろん意外性のある仕掛けもありはしたのですが、全体的に少なめな印象でした。
「妖怪は嘘をつかない」──その難しさと限界
『おやおや?大家さん!』のルールである「妖怪は嘘をつかない」は、ユニークで魅力的な設定です。しかしこの前提は、同時にゲームデザイン上の難しさも抱えていました。
例えば、すべての住人に「あなたは人間ですか?」と尋ねれば、理屈上すぐに正体が判明します。もちろん、ゲームとして面白くないため、そのようなことは出来ないです。他のゲームでも「蘇生魔法がある世界で村人の死亡を悲しむ必要性が無い」と思うことはあるかもしれませが、“ご都合”を受け入れる懐の深さも必要だろうと思います。
ですが、この構造上、”妖怪である証拠”を確実に提示するのは難しく、”開発者の意図を読む”作業に変わる場面もあります。証拠提示の納得感が薄い局面もあります。なお、こうした構造的な無理を指摘することは簡単ですが、それ自体がゲームの大部分の面白さを損なうわけではないです。
本作は、現実的な論理性だけを求める作品ではなく、このゲームのルールを理解したうえで、野暮なツッコミを越えて、この世界に浸り切ることができれば、より深い余韻が得られると思います。
まとめ
おすすめ度 | ★★★★☆ |
短時間で遊べる、温かい新感覚推理アドベンチャー!
- おすすめする人
- 推理アドベンチャーをじっくり楽しみたい人
- 物品ではなく、会話で矛盾を見つけたい人
- 人狼系の推理ゲームに新しい切り口を求める人
- おすすめしない人
- 完璧な論理性や自由度を重視する人
- テンポの速い謎解きを求める人
- 派手な演出を求める人
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