はじめに
2025年も年の瀬を迎えました。
今年もさまざまなゲームをプレイしましたが、本記事では、2025年に実際にプレイしたゲーム体験を振り返り、どの作品が、どのような形で印象に残ったのかを整理しています。
王道として非常に完成度が高かったものから、総合ベスト1本/次点ベスト3本、そして印象に残ったゲームという形でまとめています。
🏆️総合ベストゲーム🏆️
Clair Obscur: Expedition 33

概要
『Clair Obscur: Expedition 33』は、フランスのスタジオ “Sandfall Interactive” が開発したターン制RPGです。「ペイントレス」と呼ばれる存在によって、人々が毎年“年齢ごと消されていく”世界を舞台に、死が確定した運命に抗うための遠征隊〈Expedition 33〉の旅を描いています。
世界観は幻想的でありながらもどこか現実的で、希望よりもどこか諦観が先に立つ空気感が特徴的です。物語は過剰な説明に頼らず、会話や風景等の断片から少しずつ世界を理解していく構成になっています。
戦闘はターン制を軸としつつ、アクション入力やタイミング要素を取り入れた設計で、従来型RPGの思考性と、現代的な手触りを両立しています。つまり、「考えるRPG」と「触って楽しいRPG」が味わえます。
選んだ理由
2025年を振り返ったとき、「最も完成していたゲームはどれか」と考えると本作が真っ先に浮かびました。世間でも非常に高い評価を受けていることに、素直に納得できる1本です。
特に優れているのは、戦闘・システム面の完成度の高さとテンポの良さです。ストーリーを除いて、このゲームだけが持つ独自要素は多くありませんが、様々なゲームの良い部分をしっかりと取り入れ、プレイヤーに過度なストレスや煩わしさを感じさせない設計になっています。
RPGというジャンルの中でも、テンポの良さという点では群を抜いており、2025年を代表する一本として、総合ベストに選出しました。
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⭐次点ベストゲーム 3本⭐
ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist

概要
『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist(エンダーマグノリア: ブルームインザミスト)』は、『ENDER LILIES(エンダーリリーズ)』と同じ系譜に連なるメトロイドヴァニア作品です。暗いトーンの中に儚い美しさを感じさせるグラフィックと、心に響くBGMが生み出す世界観が丁寧に描かれています。
探索と戦闘を繰り返しながら進む構成で、新たなスキルや能力を獲得することで行動範囲が広がっていく王道メトロイドヴァニアです。
選んだ理由
メトロイドヴァニアとしての完成度は非常に高く、前作の良さを引き継ぎつつも、全体的に「遊びやすさ」と「没入感」が洗練されていました。特に印象的だったのは移動や探索におけるストレスの少なさです。ファストトラベルやマップ周りの設計が丁寧なため、余計なストレスを感じることなく世界を探索できます。
また、アクションの歯ごたえは保ちつつも、理不尽さを感じにくいバランスになっている点も好印象でした。遊んでいる最中の心地よさと、遊び終えた後に残る余韻の両立ができている作品でした。
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ドンキーコング バナンザ

概要
『ドンキーコング バナンザ』は、Nintendo Switch 2向けに発売された3Dアクションゲームです。いくつもの広大なフィールドを舞台に、ジャンプや攻撃を駆使しながら探索を進めていく構成になっています。
本作の最大の特徴は、敵やオブジェクトだけでなく、地形そのものまで破壊できるという設計です。壁や床を壊して新たなルートを切り開いたり、力任せに進んでショートカットを作ったりと、
「正解ルートを探す」よりも「自分で道を作る」感覚が強く打ち出されています。また、冒険を進めることでさまざまな動物への変身能力が解放されます。空を飛べたり、高速移動したり、それぞれが明確な役割を持っており、探索やアクションの幅が段階的に広がっていきます。
選んだ理由
3Dアクションとしての完成度は非常に高く、操作の気持ちよさとテンポの良さが最初から最後まで一貫していました。
特に印象的だったのは、「壊せる」というコンセプトが、探索・戦略とあらゆる面に組み込まれている点です。地形を破壊することが、そのままプレイヤーの自由度につながっており、豪快に進むこと自体が正解として成立しています。派手なシステム説明や複雑な操作を求められるわけではなく、触っていれば自然と楽しくなっていく作りは、いかにも任天堂のアクションらしい設計だと感じました。
「気持ちの良い3Dアクションを遊びたい」という期待に対して、非常に高い水準で応えてくれた一本です。
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Hollow Knight: Silksong

概要
『Hollow Knight: Silksong(ホロウナイト:シルクソング)』は、高い評価を受けたメトロイドヴァニア『Hollow Knight(ホロウナイト)』の続編として登場した作品です。初報から長い期間を経て、2025年についに発売されました。
前作から操作キャラクターが変更されたことで、戦闘や移動の感覚は大きく変化しています。アクション全体は前作よりもスピーディな印象を受けました。一方で、敵配置やマップ構成、ボス戦の設計などは、前作同様に高い緊張感を保っています。
歯ごたえのある難易度と、乗り越えたときの達成感は健在です。探索と戦闘を繰り返しながら、少しずつ世界を理解していく体験は、まさしく王道のメトロイドヴァニアです。
選んだ理由
本作は、新しい方向性に大きく舵を切るというよりも、前作で確立された完成度を、積み上げることを重視した作品だと感じました。
操作感やアクションの精度は非常に高く、プレイヤーのミスがそのまま結果に返ってくるため、理不尽さを感じにくい設計になっています。難しいながらも、「自分が上手くなった」と実感しやすい点は、本作の大きな魅力です。
発表からの期間が長かったこともあり、期待値は非常に高い作品でしたが、その期待に対して、堅実かつ誠実に応えてきた一本でした。驚きや意外性という面では小さいですが、納得感が強く残る体験でした。
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🎯印象に残ったゲーム🎯
※完成度や王道性とは別軸で、体験として記憶に残った作品
ミリオンデプス

概要
『ミリオンデプス』は、時間を止めて思考する戦闘を軸に据えたローグライクアクションです。
プレイヤーが動きを止めれば敵も止まり、プレイヤーが動けば敵も動くというシステムが独特の構造を持っています。
武器のクラフト要素や獲得できるスキル、戦闘システムそのもの等は一見すると複雑で取っつきにくい作りですが、プレイヤーに強く思考を要求する設計になっています。豪快なアクションではなく、「考えて攻略する感覚」を前面に押し出した作品です。
選んだ理由
正直に申し上げますと、一見して複雑なシステムなど、万人向けとは言い難い作りかと思います。
それでも本作が強く印象に残ったのは、作り手の意図や思想がはっきりと伝わってくるからです。時間停止という仕組みを単なるギミックに留めず、戦闘の思考性やストーリーに組み込んでいる点は素晴らしかったです。
このゲームでしか味わえない体験を提示しようとしている姿勢を感じ、2025年の中でも特に「個性」という言葉が似合う一本でした。まさしく、印象に残るゲームでした。
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文字遊戯

概要
『文字遊戯』は、キャラクターも背景もすべてが「文字」だけで構成された世界を冒険する作品です。お店は「店」、木は「木」や「樹」といった具合に、世界そのものが文字でできています。
主人公も当然“文字”で、「我(ワタシ)」を操作します。ストーリーは世界を悪夢に陥れた「魔龍」を倒すため、旅に出る、という物語が軸になります。ジャンルとしては、アクションではなくパズル要素の強いアドベンチャーゲームです。基本的に画面内の文字を消したり、分解したり、動かしたりして別の言葉にすることで先に進める作りになっています。
選んだ理由
本作が印象に残った最大の理由は、「文字で世界を作る」というアイデアが、見た目の一発ネタに留まらず、遊びそのもののルールになっている点です。
文字が地形であり、目印であり、意味を持つオブジェクトでもあるため、プレイヤーは画面を眺めながら自然と何か試してみたくなります。また、考えたくなります。そして、随所に散りばめられる言葉遊びにお見事と言いたくなります。もともとは中国語ですが、日本語にローカライズしてここまで高い完成度になるのかと、驚きました。
ひとつの発想を最後まで磨き切って、体験として強く残す作品です。「こんなゲームが成立するのか」という驚きが残り、2025年の中でも特に記憶に残る一本になりました。
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スルタンのゲーム

概要
『スルタンのゲーム』は、カード要素を軸に進行するシミュレーション作品です。暴君であるスルタンはプレイヤーに「ゲーム」を強要し、1枚のカードを引き、そのカードに書かれた課題を7日以内に達成できなければ処刑されます。例えば、金銭の消費や、危険な冒険や遠征を行う等です。
本作はターン制のリソース管理ゲームでもあり、プレイヤーはお金、情報、装備、人脈といった資源を管理しながら、NPCの物語を進め、仲間を増やし、自身の勢力を拡大していきます。選択の積み重ねによって物語は分岐し、暴君の忠実な側近になることも、反逆を企てることもでき、様々なエンディングを目指します。
選んだ理由
本作を印象に残った作品として挙げた最大の理由は、ルールが分かりにくく、最初の1プレイでは全体像を理解できないにもかかわらず、異様な中毒性があった点です。
初見では、
- 何を優先すべきなのか分からない
- このカードを処理して本当に大丈夫なのか判断できない
- 正解か失敗かも、すぐには見えてこない
といった戸惑いが常につきまといます。それでも、「次はもう少し上手くやれるのではないか」という感覚が強く、気が付くと1プレイを区切れず、朝まで続けてしまうタイプのゲームでした。新しいカードを得るたびに状況が少しずつ噛み合っていき、「今ならこの任務を処理できる」「この選択は回収できそうだ」と、理解が体感的に積み上がっていく過程そのものが楽しくなっていきます。快適さや分かりやすさは決して高くありませんが、逆に理解していく過程を体験するとそのまま“やめ時の分からなさ”に変換されている点は、他のゲームではなかなか味わえない体験でした。
完成度や王道性とは別軸で、「気付いたら時間を溶かしていた」という意味で、2025年の中でも特に強く記憶に残った一本です。
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HD-2D版 ドラゴンクエストI&II

概要
HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』は、シリーズの原点となる2作品を、HD-2D表現で再構築したリメイク作品です。基本的なシナリオやゲーム構造は原作に準拠しており、内容そのものが大きく書き換えられているわけではありません。ですが、もちろん、そのままですとボリューム不足でもありますので、きちんと肉付けされています。グラフィック表現や演出、テンポ感は現代向けに調整されていますし、ストーリーも調整されています。懐かしさを前面に出すだけでなく、現行ハードで遊ぶことを前提とした再設計が随所に感じられる作りです。
選んだ理由
本作が印象に残った理由は、「リメイクで、ここまで印象を変えられるのか」という意外性にありました。
正直なところ、遊ぶ前は「見た目が綺麗になった記念的なリメイク」という印象を持っていました。どうしても、初代2作品は昔の作品のこともあり、ボリューム以前に現代のゲームと比較すると遊びの密度は低いです。しかし、実際にプレイしてみると、単なる懐古向け作品には収まっていませんでした。
原作では想像に委ねられていた部分やキャラが立っていない部分は補強され、現代で“再提示”されている感覚があります。結果として、大まかな内容を知っているはずなのに、新鮮な気持ちで冒険を進められました。
“スクウェア・エニックス”のリメイクに対して、やや慎重な見方をしていました。しかし、本作に関しては「見直した」と素直に思えた一本です。特にドラゴンクエストⅡに関しては、同シリーズで上位に君臨するほどの面白さでした。完成度や革新性ではなく、2025年の中でも期待以上の出来であったという意外性という観点で強く印象に残った作品です。
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Nintendo Switch 2 のひみつ展

概要
『Nintendo Switch 2 のひみつ展』は、2025年に発売されたゲーム機『Nintendo Switch 2』の仕組みや新要素を、体験型の展示として紹介するソフトです。いわゆるチュートリアルや取扱説明書ではなく、展示を巡るような構成で、Switch 2の特徴に触れていく内容になっています。
Switch 2そのものが舞台となり、各展示では、Switch 2に搭載された新機能や仕組みが、操作・ミニ体験・視覚的なデモを通じて解説されます。プレイヤーはゲームを攻略するというより、展示を巡りながら、「なるほど、そういう仕組みなのか」と知識欲を満たしていきます。
選んだ理由
本作が印象に残った理由は、この形式の体験は、Switch 2を開発した任天堂以外では成立しないと感じたからです。
ハードの新機能を説明するだけであれば、映像や公式サイトでも十分に可能です。しかし本作では、実際に操作し、反応を確かめることで、知識がそのまま体感として定着していきます。
遊んでいるうちに、「どうしてこの機能が必要だったのか」、「どんな意図で設計されたのか」といった、ハードそのものへの理解や知識欲が自然と刺激される構成になっていました。
純粋なゲーム体験とは異なりますが、新ハードの登場という2025年を象徴する出来事と強く結びついた作品です。「面白かったゲーム」というより、触れたこと自体に意味があった体験として、番外的に印象に残りました。
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まとめ
2025年は、完成度の高さで納得させてくる作品と、遊び終えたあとも頭の片隅に残り続ける作品が、ちょうどよく混ざり合った一年だったように思います。
総合ベストと印象に残った作品を分けて振り返ってみると、完成度だけでは測れない体験が、多くありました。こうした体験に出会えるのも、ゲームの面白さのひとつだと感じています。
Nintendo Switch 2についても、現時点ではゲーム体験そのものが大きく変わったとは感じていません。ただ、これから出てくるゲームに対する期待は、確実に膨らんでいます。
2026年にどんなタイトルが揃ってくるのか。その中で、またどんな体験が残るのか。
年末に振り返るとき、どう感じているのかは少し楽しみです。


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